2010.06.02 of 薬事法改正2009-06-01

気になる深層Newsに迫る!

(2010.06.02 by 朝日新聞)

薬販売規制 根強い不満

郵送継続求める署名5万通

改正薬事法施行1年

改正薬事法=(参照)=が昨年6月1日に施行されてから1年になる。大衆薬のインターネットや郵送による販売規制に対して、今も漢方薬の利用者やネット販売業者からは規制緩和を求める意見が根強い。鳩山内閣の行政刷新会議でも議論になったが、厚生労働省は見直しには否定的だ。(月舘彩子、内山修)

昨年2月につくられた「郵送販売継続を守る会」は1日、漢方薬の郵送販売を続けられるよう求める署名(5万9165通)を長妻昭厚労相あてに提出した。あと1年で郵送販売ができなくなることについて、初回は店頭販売し、その後に郵送販売する際も記録を残すことなどを条件にして継続を認めてほしいという要求だ。
かぜをひいて店に来られないとか、来店しても重くて持ち帰れないから送ってもらっていたのに、と不安を訴える高齢者は多いという。同会の漢方平和堂薬局店主の根本幸夫さん(63)は「症状を細かく電話で聞いて送っていた。ネット販売と漢方薬や伝統薬の郵送販売は違う」と話す。

同会のアンケートに回答した薬局の160店舗では、郵送販売が売り上げの3割以上を占める店舗は15%にもなる。根本さんは「来店が難しいなら、病院を受診するように言うしかない。厚労省は、自分の健康に責任を持ち、軽い不調は自分で手当てしょうという政策を推進しているが、逆行するのでは」と指摘する。

これに対し、厚労省側は「漢方薬も含め薬にはリスクがある。遠くにある薬局に行けないなら、近くの薬局に送ってもらい、そこの薬剤師が説明する方法もある」と見直しに反対の立場だ。

ネットでの医薬品販売をめぐる規制緩和策も今後の議論のひとつだ。内閣府の行政刷新会議の分科会は今年4月、「ネット医薬品販売のルール制定に向けた検討に着手すべき」との方針案を示した。

しかし、厚労省の担当幹部は「利便性よりも安全性の担保。制度の定着を図ることが必要」として消極的だ。

大衆薬市場拡大せず

薬事法改正の狙いのひとつは、いつでも、手軽に、大衆薬を買うことができるようにすることだった。
東京都千代田区のコンビニエンスストア「セブンーイレブン」。入り口正面には、風邪薬や目薬など大衆薬が並ぶ。店員が胸につけているのは「登録販売者」のプレートだ。コンビニで頭痛薬を買った男性会社員(27)は「仕事中に頭が痛くなった。手っ取り早く薬を買うことができてよかった」と語った。

コンビニのみならず、大衆薬を扱う小売店はスーパーや家電量販店、スポーツ用品店などまで拡大し、消費者の利便性はある程度向上した。

一方、もう一つの狙いが大衆薬市場の規模拡大だ。目指したのは、栄養ドリンク剤など「医薬部外品」のコンビニ販売解禁で市場が急拡大した1999年の再来だ。だが、販路は広がったにもかかわず、市場の拡大は期待通り
は進んでいない。

調査会社インテージによと、09年度の市場規模は1兆1383億円で、2年連続の減少。規制緩和で伸びるはずだった、風邪薬や目薬などに代表される「第2類」「第3類」がともに減った。8万人弱の「登録販売者」の多くが既存の薬局やドラッグストアに囲い込まれ、新規参人組は思うように人数を確保できなかった。
資格を得るには筆記試験のほか、1年以上の薬販売の経験が必要とされるなど、新規業者からは「資格取得条件のさらなる緩和が必要だ」との声も漏れる。



(参照)
改正薬事法
一般医薬品(大衆薬)を3分類した。副作用リスクが高い第1類と第2類は薬剤師による店頭での対面販売が原則。第2類では、都道府県が実施する試験に合格した登録販売者による店頭販売も認めた。このためインターネットや郵送では買えなくなった。

日本薬業研修センターによると、登録販売者の合格者数は2008年度が約5万9千人、09年度が約2万1千人。

ただし、薬局のない離島の住民や、漢方薬などで特定の薬を利用していた人に限り、施行から2年間は従来通りの郵送販売が認められている。


(2010.06.02 by 朝日新聞)