医薬品販売制度改正検討部会報告書(2/3)
3.改正の具体的内容
(1)一般用医薬品のリスク分類について
○医薬品のリスクの程度の評価と分類に関しては、医学・薬学等の専門的知見を有する学識経験者のみにより構成される専門委員会〔「医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会」)を設けて、検討を行った。
○相対的リスク評価の手順等は次のとおりである。
・まず、かぜ薬、解熱鎮痛薬といった製品群による分類を行い・各製品群に属する製品に配合される主たる成分に着目する。
・相対的に情報量が多いことから、同じ成分を含有する医療用医薬品の添付文書に基づ志その成分の評価を行う。
・評価項目として「相互作用(飲みあわせ〕」、「副作用」・「患者背景(例えば・小児、妊娠中など)」、「効能・効果(漫然と使用し続けた時に症状の悪化につながるおそれ)」・「使用方法(誤便用のおそれ〕」、「スイッチ化等に伴う使用環境の変化(注2)」の6項目につし、て個別の成分のリスクを評価する。
(注2)医療用医薬品として医師の管理下のもとに投薬されてきた状況から、一般用医薬品として最終的には消費者の判断で使用されることに伴い、これまで予期できなかったような使用状況が発生すること等を指す。
・販売時の対応に関する議論を踏まえ、一般用医薬品の成分のリスクを以下の観点から3つに分類する。
アー般用医薬品としての市販経験が少なく、一般用医薬品としての安全性評価が確立していない成分叉は一般用医薬品としてリスクが特に高いと考えられる成分は、安全性上特に注意を要する成分として独立した分類とすることが適当であり、これを第1類とする。
イ残った成分を2つに分類することとし、その分類の基準となるリスク(健康被害の程度)としては、日常生活に支障を来すおそれの有無が分類の根拠として適当であると考え、「まれに日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれ(入院相当以上の健康被害が生じる可能性〕がある成分」を第2類とする。
ウ「日常生活に支障を来す程度ではないが、身体の変調・不調が起こるおそれがある成分」を第3類とする。
工なお、医薬品のうち安全上特に問題がないものについては、平成11年及び16年に医薬部外品に移行されており、参考として第4類とする。
○上記の考え方に沿って、以下のような手順で分類を作成した。(別紙2)
・一般用医薬品に配合される主たる成分について、各成分のリスクの評価をもとに、「スイッチOTCの市販後調査(PMS)期間中又はPMS終了後引き続き副作用等の発現に注意を要するもの」に相当する成分を第1類に、「相互作用」、「副作用」及び「患者背景」のいずれかの項目でリスクの高し成分を第2類に、それ以外を第3類に機械的に振り分ける。
・機械的な振り分けの結果の妥当性について、専門的な知識・経験をもとに個々の成分毎にさらに検討を加え評価する。
※なお、第2類については、分類内においてもリスクの種類や程度が比較的広し、との指摘があったことから・陳列方法を工夫する等の対応が望ましい成分を選択した。(別紙2のうち*を付されたもの〕
※上記の分類との整合性を考慮しつつ、漢方製剤、生薬、消毒薬、殺虫薬及び一般用検査薬についても、その分類を検討し、追加した。(別紙3)
○この結果、一般用医薬品について製品群として85製品群、成分としてのべ485成分(漢方製剤、生薬、消毒薬、殺虫薬及び一般用検査薬を除く)についてリスク評価を行ったこととなる。
○以上の分類は、現在時点で承認されている医薬品の添付文書を基にした分類であることに留意する必要がある。この成分の分類は変更があり得るものであり、その時点その時点における新たな知見使用に係る情報の集積により不断の見直しが行われることが必要である。
○なお、医薬部外品は誤った使い方をしない限り、特段のリスクはなく、医薬品としての販売規制を行う必要性はない。しかし、平成11年及び16年に医薬部外品に移行された品目のように、他の医薬部外品(パーマネントウエブ用剤」、薬用化粧品類など)と比べ、軽度ではあるが何らかの症状の緩和のために使用される、用法用量を守り過剰摂取に注意が必要である等、医薬品に近い性質を持っている品目もある。このため、医薬品とは引き続き区別しつつ、これを医薬部外品とは分けて整理するといった検討をすべきである。
(2)一般用医薬品のリスクの程度に応じた情報提供と適切な相談応需
以下では、リスク分類の結果に基づき
・第1類の成分を含む医薬品を「Aグループ医薬品」
・第2類の成分を含む医薬品のうち第1類の成分を含まない医薬品を「Bグループ医薬品」
・第3類の成分を含む医薬品のうち第1類及び第2類の成分を含まない医薬品を「Cグルーフ医薬品」
と呼称することにする。
①対面販売の原則
○医薬品の販売時においては・販売者側からその医薬品に関する「適切な情報提供」が行われ、購入者に十分に理解してもらうことが重要である。また同時に、購入者の疑問や要望を受けた場合に「適切な相談応需」が行われることが必要である。
○こうした「適切な情報提供」及び「適切な相談応需」が行われるためには、薬剤師等の専門家の関与を前提として、
・専門家において購入者側の状態を的確に把握できること、及び
・購入者と専門家の間で円滑な意思疎通が行われること
が必要である。
○これらが確実に行われることを担保するには、購入者と専門家がその場で直接やりとりを行うことができる「対面販売」が必要であり、これを医薬品販売に当たっての原則とすべきである。
②リスクの程度に応じた積極的な情報提供
○Aグループ医薬品は、一般用医薬品としての市販経験が少なく、一般用医薬品としての安全性評価が確立してし広い、又は、一般用医薬品としてリスクが特に高いと考えられる成分を含むものであり、
・販売時に購入者から特段質問がない場合であっても・販売者側から購入者に対し・「積極的な情報提供」を必ず行うよう義務付けるべきである。ただし、購入者が明確に説明を不要とした場合には、義務を免れるとすることもやむを得なし、と考えられる。
イ積極的な情報提供」の実施に際しては、必ず文書を用いるよう義務付けることが適当である。
・情報提供を行うに当たっては、Aグループ医薬品が一般用医薬品としての安全性評価が確立していない等の性質を持つものであることも踏まえ、薬剤師が直接対応するべぎである。
※販売時において購入者へ提供されるべき情報については、例えば、
・起こり得る重篤な副作用やその発生を避けるため留意すべき事項(服用してはし、けない人・併用してはいけない薬剤等)
・一定期間服用しても病状が改善しない又は悪化した際には医療機関での診察を受けること(受診勧奨)等を中心とすることが考えられる。
※「積極的な情報提供」に際して用いる文書としては、当該医薬品の添付文書を基本とすることが考えられる。
○Bグループ医薬品は、まれにではあっても、日常生活に支障を来すおそれがある成分を含むものであり、
・販売時に販売者側から購入者に対し、当該医薬品に関する「積極的な情報提供」に努めるよう義務付けるべきである。
・「積極的な情報提供」の実施に際しては、文書を用いることに努めるよう義務付けるべきである。
・「積極的な情報提供」に関与する専門家としては、薬剤師以外に(3)で述べる資質の確認を受けた者も認めることが適当である。
○Cグループ医薬品は、日常生活に支障を来すほどではないが、副作用等により身体の変調・不調を生じるおそれがある成分を含むものであり、
・販売時に販売者側から購入者に対し、当該医薬品に関する「積極的な情報提供』を行うことは望ましいものの、努力義務として法令上規定するほどではないと考えられる。
「積極的な情報提供に関与する専門家としては、薬剤師以外に(3)で述べる資質の確認を受けた者も認めることが適当である。
③相談応需
○購入者から販売者へ質問相談等がなされた場合には、購入者は、専門的知識に基づく回答や助言を求めており・販売する医薬品のリスクの程度に関係なく.専門家による相談応需を義務付けるべきである。
※ここでいう「相談応需」には、病状カ敬善しない等の場合に医療機関での受診を勧めることも含まれる。
○相談応需につしては・販売時のみならず、販売後にも適切な対応が求められる。このため、購入者
に店舗等の連絡先を伝えることも重要である。
(3)資質の確保
①現行制度改正の必要性
○現在の薬事法においては、一般用医薬品の販売に専門的知識をもって従事する者に関しては、薬剤師は別としても、薬種商販売業及び配置販売業の従事者について各々別個に規定され、求められる資質の内容も各々異なっている。
○また薬局般販売業については開設者(許可申請者)の資質に関わる要件は特になく薬剤師の設置が義務付けられるという仕組みであるのに対し、薬種商販売業、配置販売業につし、ては、開設者(許可申請者)が必要な資質を備えていることを確認する仕組みになっている。
○今後は、医薬品販売に際し、購入者へ的確に情報を伝え、相談に応じられる体制をより一層整備していくことが必要であると考えられる。このため、薬種商販売業、配置販売業については、薬局般販売業と同様開設者(許可申請者)について専門性に関する要件を審査するのではなく適切な情報提供及び相談に携わる者として一定の資質を備えた者が設置されていることを確認する仕組みとするとともに、各業態を通じて資質確認のための仕組みを設けることが適当であると考えられる。
②資質の水準、担保方法
○専門家たる販売従事者の資質の水準については、購入者への1青報提供及び相談応需を適切に行えることが的確に担保される必要がある。このため、都道府県試験によoその資質を確認することが適当であると考えられるが、その難易度等について都道府県の間で大きな差が生じないよう、国が一定の関与を行うことが必要であ岳なお、身分法の制定や名称独占の付与までは、必要ないと考えられる。
○資質確認のための試験については、販売に即した内容例えば、薬事関連法規副作用の内容等を中心とした実務的な試験内容とすることが適当である。
○なお、資質カ確認された専門家には、薬剤師と同様に副作用報告を行わせることが適切であり、試験にはこれに関連する内容が含まれるべきである。
③経過措置の必要1性
○試験による販売従事者の資質確保するための制度を新たに設ける場合には、購入者や事業活動に無用の混乱を与えないよう、新たな制度に円滑に移行できるように何らかの経過措置を設けることが必要である。
④管理者の設置
○現在、薬種商販売業や配置販売業においては、薬局や一般販売業と異なり・管理者についての規定は存在しないが、今後、業態にかかわらず、販売に関する必要な資質を持った者を置かなければならないという仕組みに改めた場合、同様に管理者を置くことが適当と考えられる。
○この管理者が行うべき業務としては、従事者の監督物品管理に関すること等が考えられ命このような業務を行うためには、管理者は薬剤師又は資質の確認を受けた専門家であることが必要であると考えられる。
(4)適切な情報提供及び相談対応のための環境整備
①リスクの程度に応じた表示
○一般用医薬品について、そのリスクの程度について購入者が判別しやすいよう、外箱に何らかの表示を行うべきである。ただし、その場合の具体的な方法・内容については更に検討が必要であると考えられる。
②陳列
○医薬品については、リスク分類ごとに分けて陳列すべきで茄特に・Aグレプ医薬品については、いわゆる「オーバー・ザ・カウンター」(注3)を義務付けるべきである。
(注3)専門家が関与した上で医薬品の選択購入がなされるよう・販売側のみが医薬品を手にとるような方法で陳列を行うことをいう。
○Bグループ医薬品については、オーバー・ザ・カウンターとするよう努めるべき(努力義務〕である。ただし、Bグループ医薬品のうち、別紙2の中で*の付された成分(「相互作用」叉は「患者背景」において特に注意すべき「禁忌」があり、その要件に該当する者が服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるものや依存性・習慣性がある成分等)を含む医薬品については、オーバー・ザ・カウンター叉は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法とすべきである。
③購入前の添付文書閲覧
○医薬品の添付文書の内容に関しては、できる限り、購入者が購入前に閲覧できるように環境を整備することが望ましいと考えられる。
④着衣・名札
○着衣の有無や色、名札等により、専門家と非専門家、専門家の中での資質の違い(薬剤師とそれ以外の者の区別)を購入者が容易に認識できるよう工夫することも重要である。
⑤掲示
○購入者への啓発を行うとともに、制度(情報提供・相談対応)の実効性を高める観点から、店舗に必要な掲示をさせるべきである。また、掲示は、店の外からも見えるようにすることが適当である。
○掲示すべき内容としては、リスクの程度によって販売方法が異なることや扱っている医薬品の種類、相談対応可能な時間帯等が考えられる。
⑥苦情処理窓口の設置
○制度の実効性を高める観点や薬事監視の限界を考えると、販売方法等(例えば、Aグループ医薬品を販売する際に説明を行わないなど)について、購入者からの苦情を処理する窓口を設けることも重要である。
苦情処理窓口を設ける機関としては、業界団体や、医薬品販売業の許認可権限を有している都道府県等が考えられる。
(5)販売形態について
①店舗販売業の創設等
○今回の制度改正にあたり、開設者自身の資質を確認するのではなく、販売従事者として一定の資
質を備えた者が設置されてし、ることを確認する仕組みとするのであれば、薬局を除き、店舗での
販売を行う業態については「店舗販売業」とすることが考えられる。
○また、現在、例外的に専門家の関与しない販売形態として認められている特例販売業については、
地域の実情も勘案しつつ、一般的には縮小していくことが適当である。
※なお、医療用ガス等を取扱う特例販売業については.卸売を行っていることから、現行の卸売一
般販売業とあわせて、「卸売販売業」として整理することが適当である。
肇
○以上の結果基本的に、r般消費者に対する医薬品の販売業にづいては・薬局を除ぎ・「店舗販売
業」及び「配置販売業」の2業態に再編されていくことになると考えられる。
②情報通信技術の活用
○情報通信技術の活用につしては、行政、製造業者等による啓発や情報提供については積極的に進めるべきである一方、医薬品の販売については、対面販売が原則であることから情報通信技術を活用することについては慎重に検討すべきである。
○Aグループ医薬品については、対面販売とすべきであり・情報通信技術を活用した販売は認めることは適当でないと考えられる。
○Bグループ医薬品及びCグループ医薬品につしては、対面販売を原則とすべきであるが、購入者の利便性に配慮すると、深夜早朝に限り、一定の条件の下で、テレビ電話を活用して販売することについては、引き続き認めることも検討する余地はあると考えられる。
○Cグループ医薬品については、リスクの程度や購入者の利便性・現状ある程度認めてきた経緯に鑑みると、薬局、店舗販売業の許可を得ている者が、電話での相談窓口を設置する等の一定の要件の下で通信販売を行うことについても認めざるを得ないと考えられる。


前のページへ