第1類医薬品は売れなくなった
新法施工後は、販売ルールの厳格化により、第1類医薬品の販売機会が減って市場が縮小。製薬会社の開発意欲も損なわれ、スイッチOTC化が進みにくくなると危ぶまれているが……。
薬剤師以外は販売できない第1類医薬品。「薬剤師のいる時間しか販売できない」「顧客の手の届かない場所に陳列しなくてはならない」といった厳格な販売ルールの影響で、第1類医薬品の売り上げは落ちると予想されていたが、果たしてどうだったのか。
インテージの調査によれば、薬事法改正前後の2009年5月と同年6月で第1類医薬品の売り上げは、一気に12%減少した(fact6)。

季節的な要因を排除すべく、前年の同時期(2008年6月)と比べてみても、2009年6月のOTC薬全体の売り上げが2.8%減なのに対し、第1類医薬品の売り上げは19.2%も減っている。
ただし、「ドラッグストアの場合、1店舗当たりの第1類医薬品の販売金額はほとんど変わっていない」と、日本OTC医薬品協会常務理事の西沢元仁氏。「第1類医薬品市場の縮小は、販売チャネルが減った影響が一番大きい」(同氏)と分析する。確かに、ドラッグストアでは、第1類医薬品の取り扱い店舗数は3割近く減っている(fact1)。
独立店では売り上げアップ
法改正後、第1類医薬品の売り上げがむしろアップしたというデータもある。日本薬剤師会が2009年8月に行った「一般用医薬品販売等に関する実態調査」では、第1類医薬品の売上高の増減について調べたところ、改正前より「増えた」という薬局(24%)が「減った」という薬局(11%)を上回った。
調査の対象は、日薬の行う各種調査に協力を要請されている「サポート薬局」。多くはOTC薬販売に熱心に取り組む「独立店」とみられる。第1類医薬品の売り上げが増えたと答えた薬剤師の自由意見には、「取り扱いアイテムを増やした」「意識して第1類医薬品を薦めた」といった声もあった。日薬で一般用医薬品委員会の委員を務める武政文彦氏は、「『薬剤師が前向きに第1類医薬品の販売に取り組めば、売り上げを高めることができる』と言っていいだろう」とコメントする。
生活習慣病用剤のOTC化に期待
個々の店舗は堅調でも、第1類医薬品の市場全体が縮小しているのは事実。ただし今後、市場性が高いOTC薬が登場することで、状況は変わるかもしれない。現在、ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンほか)、エピナスチン(アレジオンほか)といった成分を配合したOTC薬が、製造・販売承認を取得し、発売間近だ(fact7)。

新・薬事法では、販売ルールが厳格化され、第1類医薬品は確実に薬剤師が対面で販売することになった。
その新たなルールの施行をにらみ、先行して2008年にスタートしたのが、医療用医薬品のスイッチOTC化を促進する「新スキーム」だ。年1回、日本薬学会がスイッチ化の候補成分を選定。
これをたたき台に、日本医学会の意見を聴取した後、厚労省の薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会で「スイッチ化してよい成分」を了承し、製薬会社に製品化を促すという仕組みだ。
日本薬学会は2010年の候補成分として、アカルボースやボグリボースなどのα-グルコシダーゼ阻害剤(α-GI)やカプトリルなどのACE阻害剤といった、生活習慣病用剤をリストアップした。
これら継続的に服用する成分がOTC薬になれば、市場は活気付きそうだ。
ただ、この新スキームを通じて製品化されたOTC薬は、スキーム開始から3年を経た現在、まだ一つもない。スイッチ化のペースが早まらない背景には、市場が縮小する中、製薬会社が開発に踏み切りにくいという事情がある。
また、日本医学会の反対でスイッチ化がなかなか了承されないという問題もある。実はα-GIやACE阻害剤は、2008年もスイッチ化候補だったが、医師の反対でスイッチ化が認められなかった成分。「今回は候補成分のリストに、『薬剤師が販売時に確認する項目』を付け加えた。薬剤師のかかわりで、安全に使用できることを医師に訴えたい」と日本薬学会で、スイッチ化候補成分検討調査委員会の委員長を務める山崎幹夫氏は話している。




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