販売後モニタリングと事後対応
①副作用への対応
相談者が漢方薬を使用した後、副作用あるいは何らかの不快な症状が認められた場合には、かかりつけ薬剤師は、購入者と共にその状態を確認し、適切な情報提供・助言を行うことが必要となる(表2-2-7)。また、漫然とした使用が推奨できない般用医薬品については、短期間に反復継続した購入となっていないか留意する必要がある。
「軽度で消失が期待できる」場合として、一過性の軽い副作用がある。たとえば、抗コリン薬による「口の渇き」、ビタミンB類による「下痢、軟便」等が、これに該当する。このような場合、相談者は慎重に使用を続けて様子を見ることで差し支えない。
「症状が継続または悪化する可能性がある」場合は、医薬品の使用を中止させた上で様子を見て、必要があればかかりつけ薬剤師あるいは医師に再度相談するよう指導する。
そして、発生頻度は希ではあるが、「重篤な副作用注5」(アナフィラキシーショックやスティーブンス・ジョンソン症候群等)の場合は、直ちに医薬品の使用を中止させ、かつ、その製品や添付文書等を持参してかかりつけ医等に受診させます。
副作用等に関する確認事項
1)軽度で消失が期待できるか。
2)軽度だが、日常生活に支障をきたしたり、症状が継続または増強したりする可能性があるか。
3)重篤か。
<副作用の機序別分類>
副作用の発生機序を
1)薬理作用の過剰発現、
2)薬物毒性、
3)薬物過敏症
の3つに分類する考え方で、副作用の発見及びその対処についてかかりつけ薬剤師が判断を行う上で参考になるものです。
注)「重篤な副作用」とは:生命の危機も及ぼし、内容が不可逆的で、対応いかんによって予後が悪くなり、早急な対応が求められる副作用です。
②有害事象報告
薬局からの副作用報告は企業報告に比べて少ないことが指摘されている。しかし改正薬事法により、かかりつけ薬剤師による相談者への情報提供と相談応需が非常に重要な役割として位置づけられました。よって相談者が経験した不快な症状が数多く薬局かかりつけ薬剤師に寄ぜられることが予想されます。
薬局からの副作用等の報告が少ない理由と副作用の定義
薬局かかりつけ薬剤師から般用医薬品に係る副作用等の報告が少ない原因としては、
①相談者が副作用を経験しても購入した薬局に相談する習慣があまりない
②相談を受けたかかりつけ薬剤師に副作用報告制度に対する認識と理解が希薄である
③副作用経験の相談を受けたかかりつけ薬剤師に、使用した医薬品との因果関係を特定してから報告しようという気持ちが働き、報告制度運用にためらいがある等が考えられます。
く定義>
【副作用】…投与量にかかわらず、医薬品に対する有害で意図しない反応を副作用といいます。医薬品と事象の発生との因果関係が疑われるという事実を特徴とします。
【有害反応】…「疾病の予防、診断、治療、または生理機能を正常にする目的で医薬品を投与したとき、人体に通常使用される量によって発現する有害かつ予期しない反応」(WHO;1970)であり、医薬品との因果関係が否定できないものです。
【有害事象】…医薬品の投与中に発現した有害で意図しないあらゆる生体の反応です。医薬品との因果関係が明らかでないものも含まれます。
そのため、まずは個々のかかりつけ薬剤師が有害事象であるか否かを評価することに力を注ぐのではなく、かかりつけ薬剤師は、服薬指導と同様に、相談者とのコミュニケーションから得られた「有害事象」(よく知られている軽微なものを除く)を医薬品・医療機器等安全性情報報告制度を用い、医療関係者等が直接厚生労働大臣へ報告することも重要な役割であると強く認識する必要がある(用紙等については図2-2-3参照)。これらが結果的に症例数の拡大とその後の詳細な評価の進展につながり、ひいては更なる副作用の拡大回避に結びつくことになるものと考えられる。
③2種類の事後対応
「販売者責任の明確化」で述べたとおり、かかりつけ薬剤師は、一般用医薬品の販売後であっても、相談応需の義務やリコール製品への対応等、事後対応の役割を担っています。事後対応とは、おおむね2つに大別できます。
一般用医薬品の販売後の対応(事後対応)
Ⅰ.受動的な事後対応
相談者が購入した製品について相談をしてきた際に応需する。
Ⅱ.能動的な事後対応
1)販売した漢方薬の効果、副作用の発現、使用上の不具合等のモニタリング
2)販売した漢方薬との相互作用をもたらす薬剤が、将来その相談者に処方されないかどうかの監視
3)製品リコールで厚生労働省より回収命令が出た場合の購入者への連絡等の対応
4)回収命令は出ないが、相談者の安全性を考慮して該当する購入者への情報提供
このうち、特にⅡ.1)、2)については、何らかの処方薬を使用しながら生活する割合の多い高齢者にとっても、将来の処方に対するチェックに役立つので、重要な事後対応の業務です。
また、Ⅱ.4)の具体例としては、学校の保健室に保管されている一般用医薬品の中で、使用上の注意が改訂されたものに関する情報提供等が該当する(かつての小児用バファリンC等は、サリチル酸系製剤とライ症候群との関係から、その主成分がアスピリンからアセトアミノフェンに変更されました)。
必要に応じて保険調剤の薬歴等に記載し、販売記録として保存することは、販売後のモニタリングや事後対応を、効率的、かつ、科学的に行う上で不可欠であり、日常の業務として取り組みます。これには、インターネットの使用が役立ちます。
一般用医薬品販売の個別化と薬歴
これまでの一般用医薬品の主たる標傍効能は、症状の緩和・軽減にあり、いわゆる処方薬と異なり、服用対象者は特定の個人に限定されていませんでした。そのため、自宅に常備し、家族で共有して服用することも珍しくありません。
しかし、今後は第1類医薬品を中心に、その相談者個人に最も相応しいものを、かかりつけ薬剤師が選択・提案することが主流になっていきます。たとえば、解熱鎮痛薬の場合、同じ家族でも夫はピリン系、妻はイブプロフェン、子供はアセトアミノフェンと使い分けることも考えられます。すなわち、一般用医薬品販売の個別化です。個別化とは必要に応じて保険調剤の薬歴等に記載し、販売記録を残し、それを活用することです。これには、インターネットの使用が役立ちます。
④薬害の防止
薬事法が改正された背景の一つには、再び薬害を発生させないための実効性ある制度づくりを求める薬害被害者ならびに相談者団体の方々の強い要請がありました。
薬害と副作用ならびに有害反応は明確に区別して理解しなければなりません。
副作用や有害反応の発生は、医薬品使用本来の目的に沿って投与あるいは販売した行為の結果です。
他方、薬害とは、誤った認識に基づく(漫然とした)医薬品の投与あるいは販売等をしたり、医薬品の副作用・有害反応や製品への異物混入等の存在を知りながらその情報を患者、相談者に伝達することを怠ったり、当然行うべき情報提供や製品回収等の措置を故意に行わなかったり、といった医療従事者、医薬品供給者や規制当局による人災行為である。
端的に言うならば、薬害には必ず加害者が存在する。重篤な副作用等について、購入する相談者に確実に情報提供することはもちろんのこと、販売時点では医薬品による被害を予見できなかった場合でも、いったん問題が発見されたならば、相談者への周知、製品の回収などを速やかに行うことで被害の拡大を防ぎます。これには、インターネットの使用が役立ちます。


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